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ジプシー差別の歴史と構造 イアン・ハンコック 彩流社

前回、「中国の人口問題と社会的現実」を取り上げましたが、人口の移動問題というとユダヤ、華僑のことが先ず思い浮かびます。

私の友人にも一人中国人がいました(かなり前に亡くなりました)。
仲良くなって色々なことを話している中で「日本人で、華僑は商売が上手いとか優秀だとかお世辞のつもりで話してくる奴が時々いるが、本当に頭に来る。好きで中国から出た人間なんかいるものか、殆ど自分の国で迫害されていられなくて逃げた人間ばかりなのに・・・」ということを聞きました。
血縁、地縁などをたどって海外に行っても、またそこで奴隷同然にこき使われ、こき使った側の一部が大金持ちになったにすぎないとのことでした。

本書のロマニ(「ジプシー」)に関して私は今までカルメン、チゴイネルワイゼン位でしか聞いたことが無く、「放浪の民」=ジプシーなどと思っていましたほど無知でした。
この頃ロマニの歴史が少しづつ表に出て来るようになってきて、彼等もユダヤ、華僑と同じよう、いやそれ以上かもしれない苦難を経てきたことが徐々に解ってきた。

著者はテキサス大学の先生で言語学者であるが、自身がロマニの一員。